みなさん、こんにちは。
日本国語塾 スタッフの石田です。
さて、今日は読書感想文におすすめの本を紹介したいと思います!
読書感想文という課題は、単に本を読んで内容を要約し、印象を述べるだけのものではありません。自らの視点で作品を読み解き、そこから得た問題意識や感情、さらには思索を言語化するという、たいへんな試みなのです。
ですから、すべての書物が読書感想文に適しているわけではありません。作品のテーマ性、登場人物の心理描写、物語構造、あるいは読者との距離感といった観点から、「感想が書きやすい本」「言語化に向いている本」があります!
今回は、私がおすすめする書籍を、小学生・中学生・高校生の三つに分けて紹介します!
☆小学生向け
『エルマーのぼうけん』ルース・スタイルス・ガネット
主人公エルマーの行動力と創意工夫が光る児童文学の古典です。物語の起承転結がはっきりしており、小学生でも展開を追いやすいのが特徴です。読後には「自分ならどうするか」といった視点からの考察も引き出しやすく、初めて感想文を書く生徒にもぴったりです!
『車のいろは空のいろ』あまんきみこ
短編の中に、やさしさや誠実さ、異文化理解など現代的なテーマが穏やかに描かれる。作品の静謐な語り口と余白の多さが、読者に内省を促す。素朴ながら深みのある感想を導きやすい秀作です。
☆中学生向け
『西の魔女が死んだ』梨木香歩
思春期に差し掛かった少女と祖母との静かな交流を通じて、「生きること」とは何か、「自分らしさ」とは何かといった普遍的テーマが描かれる。比喩や余韻を多用した文体は、読解力を求められる一方で、自らの経験と重ね合わせやすく、感情の言語化に適した作品です。
『星の王子さま』サン=テグジュペリ
哲学的な主題を内包した寓話作品。大人と子どもの間に横たわる価値観の断絶や、「本当に大切なもの」とは何かという問いかけが、感想文を深めることでしょう。抽象的な読解を避けず、自己との対話を意識した感想が求められます。
☆高校生向け
『コンビニ人間』村田沙耶香
社会の「普通」に馴染めない女性が、自分なりの生き方を模索する物語。現代社会における規範意識と個人の価値観のずれというテーマが、若者の自己同一性の葛藤と共鳴するはずです。社会との関係性を主題に据えた感想文に向いており、視野の広い言語表現が期待されます。
『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ
複雑な家庭環境の中で育った主人公が、人のつながりや愛情を再認識していく過程を描いた作品。いわゆる「血のつながり」に囚われず、関係性の本質に迫る点が新しいです。物語の読後感が良好でありつつ、背景にある価値観の再定義に言及することで、深みのある感想文が成立しうるのが特徴です。
読書感想文は、「良い本を読めば自然に書ける」というものではありません。むしろ、「自分の何かが動かされたか」「自分の中で問いが生まれたか」という視点を持って読むことが、感想を深める鍵となります。
参考になれば幸いです!
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