まずい。話の流れを変えないと。
僕は頭をフル回転させました。冷汗がすごい。
ぼく「でも、それでもぼくは先生のファンなんです。先生のことを悪くいう友達もいますが、それでもファンなんです。」
取巻きの女性「へえ。」
ぼく「N澤ってやつで」
先生「あいつかぁ。」
N澤。僕の通っていた予備校で、ピカ一成績がいいけれども川田先生と口論になった生徒がいました。そのN澤君という男は僕とつるんでいたのです。
先生「あいつと「友達」かぁ。」
奥さん「やべえやつじゃん」
もっと話が変な方向に。
奥さん「そのやべえ奴と「友達」の君が何しに来たわけ?報復にでもきたの?」
ぼく「いや、そういう訳では…。」
その時僕らは食卓を囲んでいて、手作りのハンバーグを頂いていましたが、全く味がしませんでした。その後弁解を続けます。ぼくは精神的に参っているので何と言ったかは思い出せません。
先生「そういうのは「友達」じゃなく、「お知り合い」っていうんだよ。」
なんとか話が落ち着いてきました。話が終わると、すっかり夜です。
先生「なんだか、毎年やってきたこの集まりは、辞めたほうがいいかもね。なんだかうちが議論の場でなく、旅館みたいになってきたわ。」
ぼく「…。」
明朝、僕は逃げるように帰宅しました。
自宅に戻ると僕の彼女が背中をさすってくれたのを覚えています。
(続きます)